「周りも確定申告をやってないから平気」という言説は、統計的にも事実無根です。国税庁が発表している「所得税及び消費税調査等の状況」の最新データによると、実地調査における申告漏れ等の非違(違反)件数は高水準を維持しており、特に無申告事案に対する調査は年々強化されています。
実態として、確定申告が不要な会社員(年末調整で課税関係が完了している層)を除けば、本来申告義務がある個人事業主やフリーランスの申告率は9割以上に達しています。それにもかかわらず「確定申告をしていない人が多い」と感じてしまう主な理由は、以下の3点に集約されます。
- 「副業20万円ルール」の曲解:給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必須です。これを「一切申告しなくてよい」と誤認しているケースが多発しています。
- 調査のタイムラグによる生存バイアス:税務調査は発生年の翌年にすぐ来るとは限りません。税務署は追徴税額が大きく膨らむ3年〜5年分の証拠を固めてから着手するため、申告していない当人は「何年も放置しているが問題ない」と周囲に吹聴してしまいます。
- アンダーグラウンド層の局所的な情報共有:SNS上のクローズドなコミュニティや知恵袋などで、無責任な「無申告推奨論」が拡散されているに過ぎません。
「誰もやっていないから自分も大丈夫」という思い込みは、後述する破滅的なペナルティへの入り口となります。