夫婦問題の現場において、食い尽くし系夫の改善率が著しく低いことは広く知られています。「何度注意しても絶対に治らない理由」は、単なる反省の不足ではなく、彼らが抱える強固な防衛本能と認知の防壁にあります。
第一に、「食べることは生理現象であり正義」という揺るぎない確信です。暴力や不倫、ギャンブルといった明確な反社会的行為と異なり、「食事」そのものは生命維持に不可欠な正当な行為です。そのため、注意された夫の脳内では「自分は家族を傷つけた」ではなく「お腹が空いてご飯を食べただけなのに、ケチな妻から不当に攻撃されている」という被害者意識へのすり替えが瞬時に完了します。
第二に、妻側の「尽くし体質」と夫の「甘え」が生み出す共依存関係です。怒りながらも「お腹を空かせているなら可哀想」と余分におかずを作ってしまったり、夫が食べ尽くした後に黙って自分が食べるのを我慢してしまったりすることで、夫側の学習機会を奪い、行動を間接的に強化してしまう悪循環が生じます。
第三に、本人が自己の行動パターンを客観視する「メタ認知能力」の圧倒的な不足です。自分の行動が他者にどんな感情を抱かせているかを想像できないため、妻が泣いて抗議しても「大げさだ」「食べ物の恨みは恐ろしい」と茶化し、事態の深刻さを一生理解できません。