アニメやイラストの影響から「カワウソ=川魚をくわえている」という固定観念が根強くあります。しかし、コツメカワウソの生態と食性を掘り下げると、その食生活は想像以上にバリエーション豊かです。
東南アジアの河川、湿地、マングローブ林などに生息するコツメカワウソにとって、野生のカワウソの主食は魚だけに留まりません。彼らの胃袋を満たしているのは、淡水域に生息するサワガニ、エビ、タニシや二枚貝、さらにはカエルや水生昆虫、時には小型の爬虫類やネズミなどの小動物です。
では、なぜカワウソ甲殻類を食べる理由としてこれほどカニやエビを好むのでしょうか。最大の理由は、その発達した身体構造にあります。コツメカワウソの「コツメ(小爪)」という名の通り、指先には鋭く長い爪がなく、人間の指先のように皮膚が露出して非常に器用に動きます。この敏感な前足を使って川底の石の隙間や泥の中を手探りし、隠れている甲殻類を正確に掴み出します。さらに、甲殻類の硬い殻をものともせず粉砕する強靭な顎と、幅広く頑丈な臼歯を備えているため、殻ごとバリバリと噛み砕いて豊富なタンパク質とカルシウムを効率よく摂取できるのです。
もちろんカワウソが食べる魚の種類も多岐にわたります。野生下では捕獲しやすいドジョウやフナ、ハゼ類、コイ科の淡水魚、アユやウグイなど、遊泳速度が比較的緩やかで浅瀬にいる魚を中心に捕らえています。