笠原将弘氏の人生を語る上で避けて通れないのが、2012年における妻・よしこ(吉子)さんとの早すぎる死別です。当時、笠原氏は39歳、妻も同じく39歳という若さでした。
恵比寿の「賛否両論」が軌道に乗り、メディア露出が急増して多忙を極めていた時期に、妻の体に異変が生じました。診断の結果は進行性のがん(子宮がん・悪性リンパ腫などの闘病が伝えられています)。過酷な闘病生活を支えながら厨房に立ち続けた笠原氏でしたが、発覚からわずか数ヶ月足らずの急激な進行により、最愛のパートナーは旅立ちました。
実母、実父を若くしてがんで亡くしていた笠原氏にとって、妻の死は「人生で三度目の耐え難い肉親の喪失」でした。自著や手記のなかで笠原氏は、「頭が真っ白になり、なぜ自分ばかりが大切な人を奪われるのかと絶望した」と当時の胸中を吐露しています。しかし、残された3人の子供たちの前で立ち止まることは許されませんでした。