潮目が大きく変わったのは2000年代後半から2010年代だ。ハワイから「ビルズ(bills)」や「エッグスンシングス(Eggs 'n Things)」が上陸し、続いてメレンゲをふんだんに使った奇跡のふわふわ食感を売りにするスフレパンケーキ店が爆発的なブームを巻き起こした。ここで日本人は、「ホットケーキとは違う、軽やかで洗練されたパンケーキ」の存在を鮮烈に認識することになる。
そして2026年の今、カフェ業界は新たなフェーズを迎えている。ふわふわ感の追求が行き着くところまで行った結果、逆に「昭和風のずっしり硬めのホットケーキ」を求める若者が急増。レトロな純喫茶の銅板で時間をかけて焼き上げられた、表面がサクッとして中が詰まったホットケーキが、SNS上で「究極のレトロ体験」としてハイエンドな価値を持ち始めている。パンケーキとホットケーキは、対立するのではなく、それぞれの文脈で共存する時代に入ったのだ。