外見上のユニークさと引き換えに愛猫が背負う猫ライオンカットデメリットは、一時的な不快感にとどまりません。猫の皮膚は人間の約3分の1から5分の1程度の厚みしかなく、ラップフィルム1枚分に匹敵するほどデリケートです。そこに直接バリカンを当てる行為は、本来備わっている身体の保護機能を完全に奪い去ることを意味します。
特に飼い主を長期にわたって悩ませるのが、猫ライオンカット毛が生えてこないという不可逆的なトラブルです。獣医学的に「毛刈り後脱毛(Post-clipping alopecia)」と呼ばれるこの現象は、毛根の毛周期が休止期で停止してしまうことで引き起こされます。施術から半年、1年が経過しても地肌が露出したままパッチ状にしか生えず、生えてきた毛も以前のような艶やかな被毛ではなく、ゴワゴワとした変色した縮れ毛になってしまう事例が報告されています。
加えて見逃せないのが、猫バリカン体温調節とストレスの相関関係です。被毛を失った猫は、エアコンの冷風が直接皮膚に当たることで急激な低体温症に陥ったり、窓辺のわずかな日差しで紫外線による日光皮膚炎や熱傷(やけど)を起こしたりします。ネット上で「猫サマーカットかわいそう」と批判される背景には、単なる感情論ではなく、生理機能を人為的に破壊される猫の身体的苦痛が存在します。