理由もなく心が落ち着かなくなる現象の裏には、人類が進化の過程で獲得した原始的な脳の防衛システムが存在します。脳の深部にある「扁桃体(へんとうたい)」は、潜在的な危機を察知すると瞬時に警戒モードを発動させ、心拍数を上げたり筋肉を緊張させたりする指令を出します。
情報過多な環境下では、SNSのタイムラインに流れる他者の成功体験や経済不安のニュースなど、無意識にインプットされた刺激を脳が「差し迫った脅威」と誤認しがちです。その結果、具体的な外敵が存在しないにもかかわらず、理由のわからない不安さや焦燥感だけが胸に残るという心理的バリアが生じます。
さらに、心理学で指摘される「不確実性への不耐性」も大きな要因です。先が見通せない状況に対して「最悪のシナリオ」を先回りして予測しようとする防衛反応が、かえって予期不安を肥大化させてしまうという悪循環を招いています。