鞆の浦は、宮崎駿監督が2005年に約2か月間滞在し、『崖の上のポニョ』の構想を練り上げた場所としても世界的な注目を集めました。古い木造家屋が連なる路地裏や、山手から見下ろす港の風景、緑に覆われた急傾斜の階段など、町のあちこちに映画のワンシーンを彷彿とさせる光景が点在しています。公式な舞台設定ではないものの、監督が日常を過ごした日常の残り香を探す散策は、ファンにとって特別な体験となっています。
また、幕末史の大きな転換点となった「いろは丸事件」の舞台としても名高い場所です。慶応3年(1867年)、坂本龍馬率いる海援隊の蒸気船「いろは丸」が紀州藩の軍艦と衝突・沈没し、龍馬たちが交渉のために上陸したのがこの港でした。当時の船具や引き揚げ品を展示するいろは丸展示館(江戸時代の町家を再生した施設)や、談判が行われた「魚屋萬蔵宅(現・御舟宿いろは)」など、幕末の緊迫した空気感を肌で体感できるスポットが凝縮されています。