野外でトンボを観察していると、青白いシオカラトンボのすぐ隣に、黄色と黒のまだら模様をしたトンボが飛んでいる姿を頻繁に見かけます。古くから「ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)」と呼ばれて親しまれてきたこのトンボは、独立した別種ではなくシオカラトンボのメス、および羽化直後の未成熟なオスです。
麦わらのような淡い黄褐色をしていることからムギワラトンボの俗称が定着しましたが、生物分類上は全くの同種です。オスとメスを見分ける際は、体色だけでなく以下のポイントをチェックすると確実です。
- 体色と粉の有無:成熟したオスは全体が青白色の粉に覆われます。メスは成熟しても粉をほとんど吹かず、鮮やかな黄色と黒のトラ模様(麦わら色)を維持します。
- 腹部の先端形状:オスの尾端にはメスを把握するための「把握器」があり、メスには産卵のための「産卵弁」が腹部下部に備わっています。
- 成熟度による変化:オスであっても羽化直後はメスと同じ黄色です。成熟するにつれて腹部後方から徐々に青白い粉が出始め、最終的に全身が青白いシオカラ色へと変貌します。