「なぜ札幌の本店が、東京ではなく横浜の野毛に直営店を構えているのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。その歴史的背景には、1994年の新横浜ラーメン博物館開館に伴う劇的なドラマがあります。
当時、札幌ローカルの行列店に過ぎなかったすみれを、創業者・村中明子氏とその息子である村中伸敏氏(現代表)への粘り強い口説き落としによって関東へ初招致したのがラー博でした。関東の醤油文化圏に持ち込まれた「ラードで覆われた熱烈な濃厚味噌」は爆発的な社会現象を巻き起こし、すみれの名は一気に全国区へと駆け上がりました。
ラー博への出店と卒業を繰り返しながら、首都圏のファンにとって「すみれ=横浜で味わった衝撃の味」という強固な記憶が形成されました。そして2019年、ラー博での長い歴史に一度区切りをつけた後、関東唯一の常設路面直営店として選ばれたのが、食通と酒飲みが集う街・野毛(桜木町)でした。歴史的な恩義とファン層の厚さが、この地への出店を決定づけたと言えます。