取材現場で数多くの流通車両とトラブル事例を検証してきた立場から、中古車選びにおける走行距離との向き合い方について、明確な判断基準を提示します。
「低走行距離=良質な車」「過走行距離=粗悪な車」という単純な二元論にとらわれることは、中古車選びで最も陥りやすい罠です。真に注目すべきは「走行距離の多寡」そのものではなく、「その距離に至るまでに、どのような環境で、いかなる整備を受けてきたか」という履歴の連続性です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
- あえて「8万〜12万km超」の過走行・多走行車を選んで得をする人:
- 点検整備記録簿が新車時から途切れず残っており、ブッシュ類や油脂類が定期交換されている個体を見極められる人。
- 高速道路を中心とした長距離移動(シビアイグニッション回数が少なく、エンジンへの熱負荷や駆動系への負担が穏やか)で距離が伸びた車両を選べる人。
- 車両本体価格を相場の半値近くまで大幅に抑え、浮いた予算をリフレッシュ整備費に充当できる合理的なユーザー。
- 走行距離に関わらず購入に「極めて慎重になるべき」ケース:
- 年式に対して極端に走行距離が短く、過去の整備記録簿が一切存在しない個体。
- メーター交換歴があるものの「走行メーター交換記録シール」やディーラーの交換証明書がなく、実走行距離が不明な車両。
- 近所の買い物など短距離走行(チョイ乗り)のみを繰り返し、エンジンが適正油温に達しないまま10年で2万kmといった過酷使用(シビアコンディション)を強いられてきた車両。