この歪な構造に早くから楔を打ち込んできたのが、星野佳路氏率いる株式会社星野リゾートだ。同社が展開する界やリゾナーレにおいて、愛犬同伴の取り組みは単なる付帯サービスではなく、宿泊体験のコアとして再定義されている。
星野氏が常に説くのは、制約を取り払うことの価値だ。従来のドッグフレンドリーホテルでは、レストランやロビーへの立ち入りを厳しく禁じるケースが多かった。しかし同グループの一部施設では、愛犬と一緒にコース料理を愉しめるダイニングスペースの確保や、雪上ドッグランの造成など、飼い主と愛犬が同じ時間を共有できる導線が徹底的に計算されている。
「ペットを家族として扱う」という言葉を口にする事業者は多い。だが、愛犬の骨格や習性に配慮した家具の配置、アレルゲンフリーの特製ジビエプレートの提供など、客室の細部にまでその思想を落とし込めているかどうかが、トップブランドと追随者の決定的な力量差となっている。