ステーキ調理における最大の落とし穴は、冷蔵庫から取り出してすぐに熱いフライパンへ投入してしまうことです。中心部が冷たい状態で強火にかけると、表面ばかりが急激に焦げ付き、中心部が生焼けになる温度ムラが不可避となります。ステーキを常温に戻す時間は、夏場で約15分〜20分、冬場なら30分〜45分程度がひとつの基準です。指で肉の中心を軽く触れた際、ひんやりとした冷たさを感じなくなる状態を目指します。
同時に欠かせないのが、牛肉の筋切りのやり方です。赤身と白い脂身の境界線にある筋繊維は、熱を加えると強く収縮し、肉全体を反り返らせてしまいます。この反り返りによってフライパンの底面に隙間が生じ、焼きムラの原因となるのです。包丁の刃先を使い、脂身と赤身の境目へ2〜3cm間隔で垂直に切り込みを入れておくことで、熱を通しても肉が反らず、均一に熱を受け止められるようになります。