黒留袖は既婚女性が公の場で着用する最も格式の高い第一礼装です。そのため、合わせる帯にも厳格なドレスコードが存在します。基本原則は「金糸・銀糸を贅沢にあしらった織りの袋帯」であり、染め帯や名古屋帯を合わせることは明確なマナー違反にあたります。
帯の結び方は、背中で太鼓が二重に重なる「二重太鼓(にじゅうだいこ)」一択です。これには古来より「喜びやめでたいことが幾重にも重なりますように」という慶事の祈りが込められています。これに対して、一重太鼓はお悔やみや普段着の結び方となるため、婚礼の場では決して用いてはなりません。
帯に織り込まれる文様は、繁栄や長寿を願う「吉祥文様(きっしょうもんよう)」が王道です。鶴、鳳凰、松竹梅をはじめ、格調高い正倉院文様や有職文様、華文、七宝などが代表的です。格の高い文様が配された帯を選ぶことで、着物の裾模様と調和し、格式ある式場でも堂々とした品格を保つことができます。
また、帯周りの小物(帯揚げ・帯締め・末広)のルールも厳密です。礼装においては「清純・無垢・格式」を意味する「白色」を基調とし、金銀の糸が組み込まれたものを選びます。淡いピンクや水色などの色小物は、訪問着や色留袖には使えますが、黒留袖では格落ちとみなされるため外さなければなりません。小振りの祝儀扇である「末広」は、帯の左寄りに差し、金側を外側(前側)に向けるのが正しい作法です。