後世のイメージやパロディの影響から、「ゴーストは単なる甘い恋愛ファンタジー映画」と誤解している視聴者は少なくありません。しかし、脚本家のブルース・ジョエル・ルービンが構築した物語構造を精査すると、本作の本質が極めて骨太で緻密なクライム・サスペンスであることが分かります。
物語の推進力となっているのは、当時のウォール街におけるコンピュータを用いたマネーロンダリングの手法や、オフィス内のパスワード奪取、銀行口座の不正操作といった本格的な金融サスペンスの要素です。サムは幽霊という無力な存在でありながら、地下鉄を徘徊する別のゴーストから「思念で物体を動かす技術」を泥臭く特訓し、知略を尽くして真相を暴いていきます。
また、悪人が命を落とした際に現れる「黒い影」のホラー演出や、強盗犯ウィリーとの息詰まる攻防など、緩急の効いたスリリングな演出が全編に張り巡らされています。甘い恋愛描写だけで終わらない重厚なプロットがあるからこそ、クライマックスの感情の爆発がより一層際立つのです。