高校説明会の現場で最も緊迫した空気が漂うのが、全体会終了後に実施される「個別相談」のブースです。特に私立高校説明会の評判や選考基準を調べる保護者の間では、「個別相談でOKが出れば合格確実」という言説が実しやかに語り継がれています。
この個別相談の合否影響と真相を解き明かすと、地域ごとの制度的差異が見えてきます。東京都や神奈川県、大阪府などでは、中学校と高校の間で行われる「進路相談」や公教育の公平性を保つための行政指導により、説明会の個別相談で露骨な合否判定を口頭で約束することは建前上禁止されています。しかし、埼玉県に代表される北関東エリアをはじめ、多くの地域で「外部模試(北辰テスト等)の偏差値」や「中学校の通知表(内申点)」を持参することで、入試相談の目安を事前確認する慣行が依然として存続しています。
高校の相談担当者は、「この基準であれば、当日の入試で所定の点数を取れば優遇措置が適用されます」「推薦入試でのエントリーが十分に可能です」といった表現を用い、事実上のセーフティネットを提供します。これが保護者の間で「確約」と呼ばれる現象の正体です。
そこで死活問題となるのが、内申点相談のチェックポイントです。個別相談のブースに座る際、ただ「入れますか?」と聞くのは愚の骨頂です。担当教員が見ているのは以下の具体的な数値です。
・3年次1学期または2学期の通知表のコピー(9教科合計、および英数国の3教科合計)
・公認模試(Vもぎ、Wもぎ、北辰テストなど)の直近2〜3回分の成績表(原本とコピー)
・英検、漢検、数検などの取得級(準2級以上が加点基準になるケースが多い)
・生徒会活動、部活動の実績、無遅刻無欠席などの特記事項
これらをクリアファイルに美しくまとめ、「本校を第1志望(または併願)として強く希望しており、現在のこの成績で優遇措置の対象に含まれるかご教示いただきたい」と端的に切り出すのが、無駄のないスマートなアプローチです。
また、相談終了時に手渡される説明会アンケートの書き方にも配慮が求められます。単に「特になし」と書くのではなく、「貴校の〇〇プログラムに強く感銘を受け、本人が進学後の学びを具体的にイメージできました」といったポジティブな所感を1行添えることで、志望度の高さをアピールできます。学校によっては、アンケート提出が出願時の照合データとして管理されているケースが存在するため、字の丁寧さも含めて気を抜くべきではありません。