午前中の東日や真昼の南日と比べ、なぜ西日ばかりがこれほどまでに不快な熱をもたらすのでしょうか。その最大の理由は、「周囲環境の蓄熱」と「太陽の入射角度」という二重の物理現象にあります。
一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会のデータによると、夏季の住宅において室内に流入する熱の約73%が開口部(窓)を経由しています。昼間の強い日差しによって屋根、外壁、アスファルト道路やすべての構造部材が限界まで熱を溜め込んだ午後2時以降、太陽は高度を下げていきます。
南中高度の高い昼間の日差しは庇(ひさし)やベランダの屋根で遮られやすい一方、傾いた西日は建物の奥深くまで水平に近い角度で差し込みます。すでに最高潮に達した外気温と蓄熱された構造体の放熱に、窓からダイレクトに侵入する強烈な日射熱が加わることで、エアコンの冷却能力を容易に上回る「灼熱の室内環境」が完成してしまうのです。