十両以上の関取だけが結うことを許される象徴、それが「大銀杏」だ。イチョウの葉を開いたかのような見事な毛先の広がりは、土俵上の姿を一際大きく、そして威風堂々と見せる。一方で、幕下以下の力士が結う素朴な「髷」と比べ、大銀杏の作成には極めて高度な技術を要する。
頭頂部を美しく結い上げる過程には、頭部の怪我を防ぐ衝撃吸収の役割も含まれている。頭から相手にぶつかる激しい立合いにおいて、固く結い上げられた髪と油の層は、まるで天然のヘルメットのように頭皮を守る機能を果たしている。この構造は、見た目の美しさと実用性を高次元で融合させた先人の知恵にほかならない。