なぜ気象予測は10日先になると急激に難しくなるのでしょうか。その謎を解く鍵が、現代気象予測の中核をなす「アンサンブル予報」の仕組みです。
気象シミュレーションでは、現在の観測データ(気温、気圧、湿度、風向風速)を初期値としてスーパーコンピュータに入力します。しかし、海上や上空など観測地点が乏しい場所もあり、初期値には必ず微細な観測誤差が含まれます。
そこで開発されたのが、初期値にわずかな差をつけた複数パターンの計算(メンバー)を同時に走らせる手法です。例えば50通りのシナリオを一斉に計算し、その結果がどう散らばるかを分析します。
- 計算結果がほぼ一致している場合:大気の状態が安定しており、10日先でも予報の信頼度が高い。
- 計算結果が大きくバラバラに分かれる場合:わずかな風の変化で低気圧の発達や進路が激変するため、予報が日替わりで変化する。
気象庁の週間予報に付記されている「信頼度ランク(A・B・C)」は、このアンサンブル予報のブレ幅を反映したものです。「ランクA」であれば確度が高いものの、「ランクC」の場合は予報が反転する可能性が十分にあります。さらに「2週間天気予報」など長期になればなるほど計算結果の拡散は激しくなり、平均的な気温の傾向しか捉えられなくなります。