インドネシア現地で日常的に使われる翻訳検索キーワード「inggris indonesia(英語からインドネシア語)」は、東南アジア圏において最もトラフィックの多い言語ペアの一つです。Google翻訳において、日本語から直接インドネシア語を出力するルートと、英語を入力言語にしてインドネシア語を出力するルートの間には、実務上見過ごせない出力品質の格差が存在します。
最大の要因は、ニューラル機械翻訳(NMT)および大規模言語モデル(LLM)が学習している対訳コーパス(テキストデータ)の総量です。Googleの学術発表や自然言語処理の統計データによると、英語とインドネシア語の対訳データ量は、日本語とインドネシア語のペアと比較して推定30倍以上の規模に達します。翻訳エンジンは中間概念として内部で「英語」に変換してから多言語へ展開するピボット翻訳のアルゴリズムを多用するため、日本語から直接訳させると「日本語→英語→インドネシア語」の二重変換による情報の脱落や意味の歪みが発生しやすくなります。
さらに見逃せないのが言語類型論上の特徴です。日本語は主語の省略が多く、助詞によって意味を構築するSOV(主語・目的語・動詞)構造を持ちます。対照的に、英語とインドネシア語は基本的にどちらもSVO(主語・動詞・目的語)構造を基本骨格としています。文末まで結論が分からない日本語を直接読ませるよりも、主語と述語の関係が明快な英語を入力したほうが、AIは構文解析で迷うことなく的確な単語を当てはめることができるのです。この構造的親和性こそが、語学学習者やビジネスパーソンの間で英語入力を介する手法が定着している背景となっています。