相対性理論のセカンドアルバム『ハイファイ新書』の3曲目に位置する「気になるあの子」は、バンドの初期衝動と洗練されたポップネスが奇跡的なバランスで同居した楽曲です。まずは演奏にあたって把握しておくべき楽曲のスペックを整理します。
BPMは約136と、標準的なアップテンポのダンスビートです。ベースとドラムによるタイトな4つ打ちのグルーヴの上で、ギターが小気味よいカッティングを刻み続ける構造になっています。楽曲全体を貫くキーはF#メジャー(嬰ヘ長調)であり、ピアノやギターの開放弦をそのまま活かしにくい調性であることが、初学者がつまずきやすい最初の要因です。
当時の音楽雑誌のインタビューや機材レポートにおいて、ギタリストの永井聖一氏はフェンダー・ジャガーやジャズマスターなどのシングルコイル搭載ギターを愛用し、アンプ直あるいは最小限の歪みペダルでアタック感を強調したセッティングを施していたことが明かされています。あのクリスピーで軽快なトーンを生み出すには、重厚なオーバードライブではなく、クランチ一歩手前の抜けの良いクリーントーンを用意することが演奏再現の前提条件となります。