背が高く、顔立ちが整っているというだけで生き残れるほど、ファッション業界は甘くない。高校生だった斎藤工は、自ら自薦で事務所の扉を叩いた。直感だった。自分の身ひとつでどこまで勝負できるのか。
やがて彼は『MEN'S NON-NO』をはじめとする主要なファッション誌で引っ張りだこの存在となる。180センチを超える長身と、どこか憂いを帯びた独特の眼差し。カメラの前に立つ彼の佇まいは、当時の男性モデル界でも異彩を放っていた。プロとしての意識は早くから芽生えていたが、同時に「与えられた服を着てポーズを取るだけ」の自分に、言いようのない空虚さを感じ始めてもいた。