こどもの城跡地の現在と閉館理由の真相|再開発と岡本太郎の樹の行方

こどもの城跡地の現在と閉館理由の真相|再開発と岡本太郎の樹の行方

こどもの城跡地の現在と閉館理由の真相|再開発と岡本太郎の樹の行方に関する深掘り記事を分かりやすく解説します。最新情報を求める方は必見です。

こどもの城の閉館において、児童施設以上の激烈な反対運動が巻き起こったのが、併設されていた「青山劇場(客席数1,200席)」と「青山円形劇場(客席数376席)」の存続問題でした。

青山劇場は、優れた音響と舞台機構を備え、ミュージカルの金字塔『アニー』の定例公演や、少年隊をはじめとするジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)の伝説的舞台『PLAYZONE』など、数多の商業演劇・現代舞台芸術を育んだ殿堂でした。一方の円形劇場は、ステージを360度客席が取り囲む親密かつ濃密な空間で、演出家や劇団員にとって「ここでしかできない挑戦的な表現」を具現化する日本で唯一無二の実験劇場でした。

閉館方針が明かされると、蜷川幸雄氏、市川團十郎(当時・海老蔵)氏、宮本亜門氏をはじめとするトップクリエイターや俳優陣、そして熱心な観客が立ち上がりました。「青山劇場・青山円形劇場の存続を求める会」が結成され、街頭やオンラインで集められた復活を求める署名は最終的に8万筆を突破。舞台関係者の手記には、「客席と舞台の一体感、あの床の踏み心地、役者の息遣いまで吸い込む劇場の魂を、行政の都合だけで壊してはならない」という魂の叫びが刻まれていました。

しかし、劇場の運営母体はあくまで厚生労働省所管の児童育成財団であり、文化庁の所管ではありませんでした。「児童福祉の目的外施設」とみなす官僚的な縦割り行政の壁は厚く、文化政策的な視点は切り捨てられます。惜しまれながらも2015年1月、少年隊の歴史に幕を下ろす『さよなら青山劇場』公演、そして同年3月末の最終日をもって、劇場の照明は完全に落とされました。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。