切間撻器の生涯における最大のハイライトであり、同時に終着点となったのが、夜行妃古壱との「零號奪戦」です。賭郎において立会人の號数を奪い合うこの儀式は、互いの命とプライドを懸けた極限の決闘であり、両者の衝突は作中屈指の壮絶さを極めました。
試合開始直後から、撻器は圧倒的な武術の深みを見せつけ、夜行の猛攻をことごとく捌いて致命打を蓄積させていきます。しかし、夜行妃古壱の真骨頂は「技術の差を死への執念で埋める異常なタフネス」にありました。どれほど急所を破壊され、肉体が軋もうとも、夜行はお館様専属立会人(零號)への狂気的な忠誠心を燃料にして立ち上がり続けます。
そして決着の瞬間、撻器が放った渾身の打撃を肉体で受け止めつつ、夜行は捨て身のカウンターを敢行。鋭利な手刀で撻器の胸部を貫き、心臓を直接抉り出すという凄惨な一撃によって勝負は決しました。この敗北による心停止が、切間撻器の公式な死亡理由です。しかし、その死に顔には敗北の悔恨ではなく、すべてをやり遂げた男の静かな覚悟が漂っていました。