アルピニスト野口健の根底には、父・野口雅昭氏から受け継いだ強いフロンティアスピリットが存在する。雅昭氏は外交官として世界各地を巡り、中東やアフリカなどの過酷な赴任地を歩んできた人物だ。
幼少期の野口健は、父の任地であるエジプトのカイロで生まれた。異文化が交差する環境で育ちながらも、外交官の厳格な父との関係は必ずしも平坦ではなかったという。しかし、型にはまらない生き方や己の信念を貫く姿勢は、間違いなく父・雅昭氏の生き様そのものであった。
父の背中を見て育った彼は、やがて自らの足で世界最高峰の嶺を目指す道へと進むことになる。