バーの会計時、手元の伝票を見て「思っていた金額より高い」と感じる原因の筆頭がバーチャージ料相場の真相を知らないことにあります。居酒屋の「お通し」に似て非なるこの費用は、単なる場所代ではなく、氷の純度、グラスのメンテナンス、調度品、そしてバーテンダーが提供する静寂とプライベート空間の維持費として機能しています。
一方で、近頃ネット上で検索需要が急増している「近くのバーでチャージ料なし」を掲げる店舗にも注意が必要です。チャージがない店舗は一見リーズナブルに見えますが、ドリンク1杯あたりの価格が高めに設定されていたり、スタンディング(立ち飲み)形式で滞在時間を短く回すビジネスモデルを採用しているケースが大半です。どちらが優れているかではなく、自分がその夜「空間の質」を買いたいのか「手軽なアルコール摂取」を求めているのかによって評価は180度分かれます。
銀座や北新地の老舗店に代表されるオーセンティックバーの評判を調べると、「チャージ2,000円は高い」というレビューが散見されます。しかし、手作業で削り出される純氷、バカラをはじめとする上質なアンティークグラス、選び抜かれた旬のフルーツや乾き物(チャーム)のコストを勘案すれば、極めて妥当な対価であることが分かります。金額の多寡ではなく、そのチャージに何が含まれているかを認識することが、失敗しない第一歩です。