習字の筆の正しい洗い方|お湯・洗剤Ngの理由と太筆・小筆手入れ全手順

習字の筆の正しい洗い方|お湯・洗剤Ngの理由と太筆・小筆手入れ全手順

習字の筆の正しい洗い方|お湯・洗剤Ngの理由と太筆・小筆手入れ全手順の詳細解説をご紹介します。役立つ情報が満載です。

油汚れや食器を洗う感覚で、「温かいお湯のほうが墨の油分が溶けて落ちやすいのではないか」「ハンドソープや食器用洗剤で洗えば黒ずみがスッキリ落ちるはず」と考える人は少なくありません。しかし、書道用具の製造元や伝統工芸士が一様に警鐘を鳴らす通り、お湯と洗剤の使用は筆にとって致命傷となります。

まず、習字の筆にお湯がNGな理由には、毛の材質と筆の組み立て構造という2つの側面があります。書道筆の多くは、羊毛(羊)、剛毛(馬、イタチ、タヌキ、鹿)などの動物毛で作られています。人間の髪の毛と同様に、動物毛は熱に弱く、40℃を超えるお湯に浸けるとキューティクルが開き、毛の弾力(コシ)が失われてしまいます。さらに深刻なのが根元の接着剤へのダメージです。筆の根元(水茎)は、毛を束ねるために「三千本膠(にかわ)」や特殊な耐水性接着剤で固められています。熱いお湯にさらされるとこの接着剤が軟化・溶解し、ある日突然、筆の毛がごっそりと抜け落ちる「脱毛現象」を引き起こします。

次に、書道筆に石鹸や洗剤を使ってはいけない真相は、毛が本来持っている天然の脂分(油膜)にあります。上質な書道筆は、適度な油分があるからこそ墨をほどよく含み、なめらかな筆運びとまとまりを保っています。界面活性剤を含む石鹸や合成洗剤で洗うと、この必要な油分まで完全に脱脂されてしまいます。油分を失った毛はパサパサに乾燥して広がり、乾いた後に毛先がまとまらなくなるだけでなく、摩擦によって毛切れを起こしやすくなります。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。