店頭で見かける合い挽き肉の原材料表示を確認すると、その大半は「牛肉」と「豚肉」の組み合わせで構成されています。日本国内の食品表示基準(景品表示法および食品表示法)に基づき、配合割合の多い原材料から順に「牛・豚合い挽き肉」あるいは「豚・牛合い挽き肉」と記載することが義務付けられています。特売品や一部の業務用商品ではコストを抑えるために鶏肉をブレンドした「牛豚鶏合い挽き肉」も存在しますが、一般的な洋食料理で指定される合い挽き肉といえば、牛と豚のブレンドを指します。
そもそも、なぜ手間をかけて2種類の肉を挽いて混ぜ合わせるのでしょうか。最大の理由は、合い挽き肉を混ぜる理由が「味・食感・保水性の相乗効果」にあるためです。牛肉はミオグロビンという色素タンパク質が豊富で、赤身特有の濃厚なコクと力強い肉の風味を持ちます。しかし、牛肉単体では加熱によってタンパク質が硬く引き締まり、パサつきやすい欠点があります。一方の豚肉は、脂の融点が約33〜46度と人間の体温に近く、口の中でとろけるようなジューシーさと甘みをもたらします。さらに豚肉には水分を抱え込む保水性の高いタンパク質が多く含まれています。
つまり、牛肉の「旨味の骨格」に、豚肉の「柔らかさと脂の甘み」を掛け合わせることで、冷めても固くならず、噛んだ瞬間に肉汁が溢れ出す理想的な肉質が完成するのです。
精肉店やプロのシェフが長年追求してきた牛豚合い挽き肉の割合には、目的に応じた明確な基準があります。一般に洋食店などで「プロの味」とされる合い挽き肉の黄金比率は「牛7:豚3」です。牛肉のしっかりとした肉肉しさを主役に据えつつ、3割の豚肉が適度な柔らかさと脂分を補う絶妙なバランスを実現します。一方で、一般的なスーパーで最も多く流通しているのは「牛6:豚4」または「牛5:豚5」です。豚肉の比率が上がるほどふっくらと柔らかな食感になり、家庭で子どもやお年寄りが食べるハンバーグとしては「牛6:豚4」が最も失敗しにくく、冷めてもふんわり感を維持できると高く評価されています。