イオン小郡ショッピングセンターが全国的な注目を集めた契機は、2018年7月の西日本豪雨および2019年8月の九州北部豪雨による大規模な冠水被害でした。当時は駐車場一面が茶色い濁水で覆われ、店舗内にまで浸水が及ぶショッキングな映像がテレビのニュース番組で繰り返し報道されました。
なぜ短期間のうちにこれほど深刻な水害に見舞われたのでしょうか。地理工学的な観点および行政のハザードマップを精査すると、複数の立地要因が重なり合った構造的背景が浮かび上がります。
同施設が位置する小郡市大保エリアは、筑後川水系の一級河川である宝満川とその支流に挟まれた低平地です。集中豪雨が発生すると本流の水位が急上昇し、支流や水路の水が排出できなくなる「バックウォーター現象」や「内水氾濫」が極めて起きやすい構造となっていました。当時、敷地周辺の排水能力を超える想定外の雨量が短時間に集中したことが、連続した浸水被害の直接的な原因でした。