メディアが華々しい戦績を追う一方で、ドイツ時代の舞台裏には兄弟の深い絆があった。異国で苦闘する高聖に対し、すでにハンブルガーSVでキャプテンを務めるなど欧州の酸いも甘いも噛み分けていた酒井高徳は、甘やかすことなく、だが常に温かい視線を送り続けた。
「自分の力で這い上がれ」。兄からの無言のメッセージを受け止めながら、高聖はドイツの過酷な環境で自問自答を繰り返した。結果として選手生活の早期引退を選んだものの、その決断を兄たちも全面的に尊重し、背中を押したという。ピッチ上のライバルから、人生を共に歩む強固なパートナーへ。スポーツニュースの速報では決して流れない、家族の真のドラマがそこにあった。