ネット上では時折、「引退した競走馬はすべて殺処分されているのではないか」「JRAの莫大な売上ですべての引退馬を養うべきだ」といった極端な意見が見受けられます。しかし、これらにはいくつかの構造的誤解が存在します。
第一に、「すべての馬を生涯養老させること」の物理的・経済的限界です。日本国内で毎年生まれる約7,000頭強のサラブレッドが仮に平均寿命である25〜30歳まで生きるとなると、常時10万頭以上の馬を飼育する広大な土地、飼料、そして何千人もの厩務スタッフが必要になります。これは現在の日本の国土面積や畜産インフラから見て現実的ではありません。
第二に、JRA(日本中央競馬会)やNAR(地方競馬全国協会)も手をこまねいているわけではありません。JRAは「引退馬のセカンドキャリア推進事業」を立ち上げ、乗馬への転身奨励金交付、リトレーニング施設への助成、馬術競技大会の開催支援などを年々拡充しています。単純な批判ではなく、現実的な流通ルートをどう太くするかが議論の焦点となっています。