山田洋次監督の金字塔「男はつらいよ」シリーズにおいて、彼女は異例の3作品でマドンナを務めた。車寅次郎との切なくも心温まる交流や、しとやかな中に芯の強さを秘めたヒロイン像は、ファンに強い印象を残した。映画の巨匠たちから愛された現場経験が、彼女の演技の幅を著しく押し広げた。
一方、本格派の時代劇で見せる凛とした立ち姿も評価が高い。着物の所作や言葉遣いの美しさは一朝一夕で身につくものではなく、長年の舞台で培った鍛錬の賜物だ。現代劇の親しみやすさと時代劇の重厚さ、その双対を自在に行き来する演技の幅広さは特筆に値する。