こうした重苦しい話題は、決して堅苦しい学術書やビジネス書の中だけに閉じたものではない。ポップカルチャーの世界でも、このテーマは繰り返し語り継がれてきた。代表例が、アメコミ映画でおなじみの『スパイダーマン』の名台詞、「大いなる力には、大いなる責任が伴う(With great power comes great responsibility)」だ。
超人的な能力を得た青年ピーター・パーカーが、その力の行使に伴う代償と葛藤する姿は、現代のテクノロジー社会を生きる私たちと深く響き合う。個人がSNSやデジタルツールを通じて強大な発信力を持ち、AIを道具として駆使する時代において、誰もがかつてない「力」を掌に収めているからだ。
近年、Netflixのドキュメンタリー番組やNHKのドキュメンタリー特集でも、ネット炎上やデジタルリンチの心理的メカニズムが特集され、話題を呼んだ。個人の一言が瞬時に拡散し、誰かの人生を破滅させかねない時代。私たちは知らず知らずのうちに強力な影響力を手にしており、それに伴う責任の重さに打ちのめされそうになっている。