ネット上には「気合いで我慢すればすぐ終わる」「痛いのは看護師の腕が下手だからだ」といった極端な言説が見受けられますが、これは極めて危険な誤解です。
最大の盲点は、「痛みを我慢して力むこと自体が尿道損傷の主原因になる」という生理学的事実です。激痛に耐えようと全身を硬直させると、外尿道括約筋が硬く閉ざされます。その抵抗に逆らってカテーテルを押し進めると、尿道粘膜に偽道(本来のルートとは異なる組織の裂け目)を作ってしまい、大出血や術後の尿道狭窄症(尿道が線維化して狭くなる後遺症)という深刻な事態を招きかねません。痛いと感じたら絶対に我慢せず、「痛いです!」と即座に声に出して処置を一時ストップさせることが、自らの身体を守る鉄則です。
また、術後のせん妄や強い違和感から、バルーンが膨らんだままの状態で管を自力で引き抜いてしまう「自己抜去」事故が医療現場では重大視されています。膨らんだ風船が尿道をズタズタに引き裂きながら抜けるため、一生涯にわたる排尿障害を残すリスクがあります。留置中の違和感が耐え難い場合は、我慢して暴れるのではなく、膀胱鎮痙薬(抗コリン薬など)や座薬タイプの鎮痛剤の投与を医師に相談するのが正しい解決ルートです。