コイン洗車場の現場において、利用者の間で最も激しい摩擦が生じる舞台が拭き上げスペースのマナーを巡るトラブルです。洗車ブースは空いているのに、拭き上げエリアが満車のために車を出せず、ブース内で立ち往生してしまう「デッドロック現象」が週末のピーク時に頻発しています。
洗車場における拭き上げスペースは、あくまで「洗車後の水滴を拭き取り、速やかに退場するための共有スペース」です。しかし現場を観察すると、以下のような行為が日常的に見受けられます。
- 水滴の拭き上げにとどまらず、その場で本格的な固形ワックスがけや長時間の磨き(ポリッシング)作業を始める。
- 車内の荷物を地面にすべて広げ、掃除機をかけたまま1時間以上スペースを専有する。
- 複数台で集まり、拭き上げスペースをオフ会の会場のように使って長時間の談笑に興じる。
多くの施設が掲示板で「拭き上げスペースの利用は20〜30分以内」と明記しているのは、限られた敷地を回転させなければ経営が成り立たず、後続の利用者が炎天下で水滴の乾いていく愛車を眺めながら待たされるという重大な不利益を被るためです。
さらに、かつて夜型ドライバーの憩いの場であった24時間営業のコイン洗車場が激減した背景にも、深刻な現場の荒廃が存在します。夜間の無人運営を突いた「ドアを全開にして大音量で音楽を流す」「エンジンの空ぶかし」「持ち込みゴミやタイヤ・バッテリーの不法投棄」が多発した結果、近隣住民からの通報が相次ぎました。
警察や行政からの指導を受け、やむなく「夜20時または21時完全消灯・出入口封鎖」へと営業時間を切り替えたオーナーは、取材に対し「本当は夜間に働いている方のためにも開けておきたかったが、一部の心ない利用者のせいで地域との共生が限界を迎えた」と苦渋の胸中を明かしています。洗車場という公共的空間を守れるかどうかは、私たち一人ひとりのモラルに完全に委ねられています。