日常会話やニュースで耳にする「無常」という言葉。直感的に「あっけないこと」「虚しいこと」と捉えられがちですが、本来の無常 仏教の教えにおける定義はきわめて明快です。
サンスクリット語の「アニッチャ(anicca)」を漢訳した言葉であり、文字通り「常(つね)が無い」、すなわち「あらゆる物事は移り変わり、永久不変のものは何一つ存在しない」という宇宙の普遍的な法則を指します。
仏教の根幹をなす教え「三法印(さんぼういん)」の筆頭に挙げられるのが諸行無常 意味の核心です。ここでいう「諸行」とは、形ある物質から私たちの心・感情・人間関係・社会情勢に至るまで、この世に存在するすべての現象を意味します。それらすべてが絶え間なく変化のプロセスの中にあり、固定された実体などどこにもないという事実を、客観的なリアリズムとして説いたのが釈迦(ブッダ)の覚りでした。
さらに禅宗や仏教説話では無常迅速 意味(人の命や時間の推移は矢のように素早く過ぎ去ること)という警句が頻繁に用いられます。時間は不可逆であり、老い・病・死からは誰も逃れられません。だからこそ、無常 わかりやすく言えば、「変化こそが世界の唯一の常態である」と理解することがすべての出発点となります。