音楽活動のみならず、スクリーンで放つ存在感も絶大だ。主演を務めた映画『土を喰らう十二ヵ月』では、信州の山里で旬の食材を料理しながら暮らす作家・ツトム役を見事に演じ切った。畑で野菜を収穫し、包丁を握り、丁寧に滋味豊かな料理を作り上げる手つき。セリフの合間に漂う静けさや余白にこそ、彼の人生観が滲み出る。
この作品での演技は映画界からも極めて高い評価を受け、数々の映画賞で主演男優賞を獲得した。昭和のカリスマ歌手としての虚飾を完全に削ぎ落とし、ただ一人の人間としてカメラの前に立つ。その自然体の佇まいと滋味深い存在感は、観る者の心に深い余韻を残した。