西城秀樹の歌唱スタイルは、それまでの日本の男性歌手の常識を根底から覆しました。少年時代にドラムに親しみ、ジャズや洋楽ロック(ジャニス・ジョプリン、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルなど)を浴びるように聴いて育ったバックボーンが、彼の骨太なリズム感とハスキーなシャウト唱法の土台となっています。
音楽評論家や当時の制作陣の手記によると、レコーディングスタジオでの西城は「一発録りに近い状態で感情を爆発させ、テイクごとに異なる熱量を注ぎ込んでいた」と証言されています。譜面通りの正確さだけを求めるのではなく、声の掠れ、息遣い、絶叫に至るまでを計算された感情表現へと昇華させる技術は唯一無二でした。
『傷だらけのローラ』で見せた膝をつき身悶えながら愛を乞う歌唱表現は、フランス語版(『LOLA』)がカナダのヒットチャートで第2位を記録するなど、国境を越えてエモーショナルな魅力が伝わる決定的な証拠となりました。歌謡曲のメロディにロックの情動を宿らせたそのボーカルワークこそが、後進のJ-ROCKボーカリストたちに多大な影響を与え続けています。