国境を越えた評価の背景には、活字文化の危機という世界共通の焦燥感がある。欧米の書評誌がこぞって本作を絶賛したのは、単にエキゾチックな魅力ゆえではない。手触りのある紙の本が持つ重み、一冊をじっくりと咀嚼する贅沢な時間――それらが失われつつある現実への危機感が、巧みなファンタジー小説の骨格を通して語られていたからだ。
英訳版のヒットを皮切りに、ヨーロッパやアジア各国でも異例のロングセラーを記録した。言語や文化の壁を軽々と飛び越え、本を愛する者たちの連帯を生み出した事実は、文学が持つ普遍的な力を証明している。