創業100年を超えるようなうなぎ割烹の味を家庭で再現する場合、調味料のグレードと「隠し味」の選択が決定打となる。名店の職人が残した手記や調理文献でも語られている通り、最大の秘訣は「たまり醤油」と「ザラメ糖」の導入だ。
通常の濃口醤油の一部を大豆由来の旨味が凝縮された「たまり醤油」に置き換えることで、圧倒的なアミノ酸濃度と艶やかな漆黒の照りが生まれる。さらに上白糖ではなくザラメ糖(中双糖)を使用すると、カラメル香を帯びた奥行きのある甘味が加わり、高温で焼き上げた際に香ばしい焦げ目を形成しやすくなる。
また、家庭で手軽に実践できるプロの隠し味として次の3点が挙げられる。
- 炙ったうなぎの頭や尾の端材:うなぎの身を温める前に切り落とした端材をグリルで香ばしく素焼きにし、たれと一緒に煮込む。魚油のコクとアミノ酸が一気に溶け出し、老舗の「継ぎ足したれ」に極めて近い重厚感が手に入る。
- 昆布(3cm角1枚):煮詰める段階で昆布を一切れ投入し、沸騰直前に取り出す。グルタミン酸が醤油のイノシン酸と相乗効果を起こし、角のとれたまろやかな口当たりに仕上がる。
- 隠しバルサミコ酢(数滴):煮上がりの直前に上質なバルサミコ酢または黒酢を2〜3滴垂らす。酸味は揮発し、ブドウのポリフェノールとフルーティーな熟成香だけが残り、後味のキレが劇的に向上する。