濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した際、主演を務めた西島秀俊の演技は世界中の批評家から絶賛された。全米映画批評家協会賞で主演男優賞を受賞するなど、アジア出身の俳優として歴史的な偉業を成し遂げたことは、日本映画業界全体にとっても大きなエポックメイクとなった。
劇中での静謐でありながら感情の深いひだを表現する演技は、彼が長年培ってきた表現力の集大成であった。カンヌをはじめとする世界各国の映画祭を渡り歩き、過密な海外渡航が続いた際も、国内の家庭が強固な基盤として機能していた。世界的名声を手にしてもなお、驕ることなく謙虚であり続ける姿勢の根底には、家庭での地に足の着いた暮らしがある。