渡辺氏の電撃辞任という未曾有の危機に際し、火中の栗を拾う形で第9代代表取締役社長に就任したのが、当時執行役員を務めていた神山恭子氏でした。船橋屋の歴史において、生え抜きの女性がトップに就任するのは極めて異例のことでした。
神山体制が最初に着手したのは、失墜した信頼を取り戻すための徹底したコンプライアンス体制の再構築と、現場重視の組織づくりです。特定のワンマン経営者に権限が集中していた従来の体制を抜本的に見直し、役員や社員が自由に意見を出し合える風通しの良い環境作りに注力しました。
騒動当初は一部で不買運動や厳しい声も寄せられましたが、200年以上にわたり無添加の製法を守り続けてきた職人たちの技術や、くず餅本来の美味しさそのものに対するファンの支持は揺らぎませんでした。神山社長を中心とする真摯な謝罪と地道な品質管理の徹底により、次第に客足は戻り、現在では再び多くの人々で賑わう日常を取り戻しています。