「ねじねじ」と親しまれたあのスタイルは、一朝一夕で生まれたものではない。中尾彬は俳優業へ本格的に進出する前、武蔵野美術大学で油絵を学んでいた画家としての顔を持っていた。色彩や構図、立体感に対する感性は人一歩抜きん出ていたのだ。
首元にストールを巻き、それをきゅっと「ねじる」技法にたどり着いたのは、衣装がだらしなく垂れ下がるのを防ぎつつ、顔まわりに華やかなボリュームと立体的なフレームを作るためだったという。首元は年齢や体型の変化が出やすい部位でもある。そこに絵画的なアクセントを置くことで、視線を巧みに引きつけ、全体のシルエットを引き締める役割を果たしていた。
自身で発案したこの工夫は、やがて彼のトレードマークとなり、ファッション業界のスタイリストたちからも「完璧なセルフプロデュース」として高く評価された。芸能界において自らの「型」を確立した瞬間であった。