彼女を襲った病魔の正体は、脳脊髄液が漏れ出すことで激しい頭痛やめまい、倦怠感を引き起こす難病「低髄液圧症候群」だった。まっすぐに歩くことすら難しく、日常生活にも支障をきたすほどの重症である。ブロードウェイの舞台に立つという快挙を成し遂げた主演ミュージカル『CHICAGO』の降板は、彼女にとって断腸の思いだったに違いない。
ニューヨークでの再演を控え、過酷なトレーニングを重ねていた最中の病状悪化。苦渋の決断として降板を発表した際、彼女が味わった失意と無念さは推し量りきれない。ダンサーとしての高い身体能力と強靭な精神力で知られる彼女であっても、肉体の限界には抗えなかった。この降板劇こそが、彼女に「命と向き合う時間」を強いる大きな転換点となったのである。