発売初日の午前中に完売札が貼り出される事態は、なぜこれほどまでに繰り返されるのか。流通データと店舗オペレーションの観点から売り切れ続出の理由を紐解くと、需要と供給の極端なアンバランスが浮き彫りになります。
コンビニエンスストアにおける1店舗あたりの平均入荷数は、基本的に1ロットから多くても2ロット(約60〜140本)程度に制限されています。これに対し、コアなファン層が1回の来店で5回〜10回引く行為が定着しており、わずか5〜6人の熱心な購入者が訪れるだけで、その店舗の在庫は瞬時に枯渇します。さらに、最後の1枚を引いた購入者だけに贈られる「ラストチャンス賞」の存在が、終盤戦の買い占め競争に拍車をかけています。
現場の実態と数値を客観的に把握するため、くじの構成比と市場動向を以下の比較表にまとめました。
純粋な計算上、手つかずの状態で1回引いてラストチャンス賞を引き当てるラストチャンス賞当選確率は、わずか約1.4%から1.6%にすぎません。当然ながら、この賞は「最後までくじを引ききった人」に授与されるため、店頭の残り枚数が10枚前後になったタイミングを見計らい、残りをすべて買い占める「全買い(ラストアタック)」が定石となっています。
この力業の購入行動が、一般のライト層がくじを目にする機会を奪い、結果として取扱店舗の現在在庫状況がどこも「完売」一色に見えるという情報ギャップを生み出しています。