手縫い初心者基本として絶対に覚えておきたいのが、コの字縫いの具体的なステップです。海外の洋裁現場でラダーステッチ縫い方として親しまれているこの技法は、縫い進めている最中には糸が見えていても、最後のひと引きで魔法のように姿を消します。
用意するものは、補修する布地と同系色の手縫い糸(普通地ならポリエステル60番)、手縫い針(薄地〜普通地用)、そして糸切りハサミです。強度を保ちつつ引きつれを防ぐため、糸は「1本取り」で使用するのが鉄則です。
ステップ1:玉結びを隠す裏ワザ(縫い始め)
まず直面するのが「最初の玉結びをどこに置くか」という問題です。結び目を表に出さないためには、傷口やほつれ穴の「内側から外側へ」向かって折り山のキワに針を刺し出します。こうすることで、玉結びは完全に布の内側の空洞(ぬいぐるみの綿側や服の裏側)に隠れ、表には一切露出しません。
ステップ2:折り山の内側を平行にすくう(コの字縫いやり方)
糸が出た位置の真向かいにある布の折り目に対し、針を水平に入れます。すくう長さは約3mm〜4mmが目安です。次に、糸が出た側の真向かい(最初側の折り目)に針を戻し、同様に3mm〜4mmすくいます。これを繰り返すと、左右の折り目の間に糸が直角に渡り、カタカナの「コ」の字、あるいは梯子の段が連続した形状になります。
ステップ3:テンション調整と手縫い糸の始末(縫い終わり)
5〜6目ほど進んだ段階で、糸を進行方向へ優しくスーッと引きます。すると、開いていた布端が吸い寄せられるようにピッタリと合わさり、渡っていた糸が内側へと潜り込みます。一気に何十センチも縫ってから引くと糸が途中で引っかかって千切れる恐れがあるため、「数目縫っては引く」を繰り返すのが滑らかに仕上げるポイントです。
縫い終わりには、折り山のキワで小さな玉留めを作ります。その玉留めの根元と同じ穴に針を深く刺し、数センチ離れた適当な布目から針を一気に引き抜きます。糸を強めに引くと、玉留めが「プチッ」と音を立てて布の内側へと引き込まれます。最後に布地を軽くもんで糸の張りを戻し、布のキワで余分な糸をカットすれば、縫い始めも縫い終わりも完全に視界から消滅します。