リリースから半世紀近くが経過した現在、『あんたが大将』に対する音楽的・文化的評価は再び高まりを見せています。昭和レトロカルチャーやシティポップの世界的ブームが一巡したことで、その対極にあった「昭和の生々しい人間臭さ」や「泥臭い大衆芸能のエネルギー」に光が当てられているためです。
SNS上では、短尺動画で武田鉄矢のキレのある身振り手振りや痛快なパンチラインを「昭和のキラーコンテンツ」として面白がる若い層が増加。歌詞に描かれた「承認欲求に振り回される人間の哀愁」は、見栄やフォロワー数、いいねの数に一喜一憂する現代のデジタル社会の病理とも完全に一致しています。時代がどれほど移り変わろうとも、人間がおだてに弱く、見栄のために身を滅ぼしかねない生き物である限り、この曲が投げかけるアイロニーは色褪せることがありません。