放送当時から現在に至るまで、SNS(X)やネット掲示板、ドラマレビューサイトでは平古祥平の行動を巡って激しい議論が交わされてきました。当時のリアルな反響を丹念に検証すると、視聴者の感情が「激しい怒り」から「痛烈な共感」へと劇的に変化していった構造が浮かび上がります。
物語の前半、ナッツ混入の張本人であることが示唆された段階では、視聴者コミュニティから厳しい批判が殺到しました。「尾花がすべてを失ったのに、自分だけ一流ホテルでエリート面をしているのは許せない」「早く自首して本当のことを言うべきだ」という、倫理的な反発が主流を占めていたのです。
しかし、第8話以降、祥平が抱えていた地獄のような苦しみが明かされるにつれ、論調は一変しました。「もし自分が同じ立場だったら、あの場で正直に名乗り出られただろうか」「尾花という圧倒的天才の前で萎縮してしまう感覚がリアルすぎて胸が痛い」といった、組織の若手目線からの共感の声がSNSを席巻したのです。
また、祥平がホテルを追われた後、尾花の宿敵であった丹後学(尾上菊之助)率いる「gaku」に拾われ、黙々と仕込みに打ち込む姿や、グランメゾン東京の危機に密かに食材を融通するシーンに対しては、「不器用すぎる贖罪の形に泣けた」という熱烈な擁護論が定着しました。完璧なヒーローではなく、弱さと過ちを抱えながらも料理にすがる祥平の生き様は、現代社会で働く多くの人々の琴線に触れたのです。