ネット上の情報では「大阪や東京のデパ地下にも店舗があるのだから、わざわざ滋賀まで行かなくても味は同じではないか」という冷ややかな意見を目にすることがあります。実際に、阪神梅田本店や阪急うめだ本店、あべのハルカス近鉄本店、東京の日本橋三越などに展開する「たねや」「クラブハリエ」の販売力は全国トップクラスです。
しかし、これは現地を知らないことによる明らかな誤解です。都市部で販売される「ふくみ天平」や「バームクーヘン」は、贈答用に日持ちするよう厳格に品質管理された完成品です。一方で、近江八幡の直営拠点が提供しているのは、「職人の手元から直接手渡される温度と水分量」にほかなりません。
例えば、焼きたてバームクーヘンは、焼き上がりの余熱が残り、指で触れると吸い付くような柔らかさとバターの湯気立ちを伴っています。これは製造工場と直結した敷地だからこそ提供可能な奇跡的な食感であり、真空包装された通常商品とは完全に別物です。
また、「ラコリーナに行けば日牟禮の限定品もすべて買える」という誤認も目立ちます。香ばしい実演つぶら餅を頬張れるのは日牟禮乃舍だけであり、ラコリーナでは販売されていません。両拠点の役割分担を理解せずに訪問し、目当ての品が手に入らなかったと後悔する観光客が後を絶たないのが現状です。