公開から20年近くが経過しようとする現在でも、ファンの間で行われる秒速5センチメートル 聖地巡礼の熱気は衰えていません。東京都渋谷区の代々木八幡神社や参宮橋駅周辺の踏切、第2話「コスモナウト」の舞台となった鹿児島県種子島の中種子町、そして第1話で大雪の中ふたりが奇跡的な再会を果たした栃木県のJR小山駅や岩舟駅。現地を訪れたファンからは「踏切に立つだけで胸が苦しくなる」「岩舟駅の待合室でストーブの温もりを想像した」といった声が絶えず投稿されています。
SNSやネット掲示板における秒速5センチメートル ネットの反応 評判を分析すると、年代や鑑賞時のライフステージによって評価が鮮やかに分かれる現象が見受けられます。
「高校生の時に観たときはただただ絶望したけれど、社会人になって結婚した今観ると、明里の現実的な選択が痛いほど理解できる」「貴樹のように過去の思い出を綺麗に冷凍保存してしまうのは男の悪癖であり、明里のように綺麗にアップデートして生きていくのが女性の強さ」「見る時期によって貴樹に感情移入するか、花苗(第2話のヒロイン)に同情するか、明里の心理に納得するかが変わる」といった考察が長年にわたり交わされています。鑑賞者自身の恋愛観や成熟度が如実に反映される鑑賞体験こそ、本作が単なるアニメ映画を超えたマスターピースと呼ばれる所以です。